母帰る

「マンマに電話しなきゃ!」

イタリアから帰国後すぐに東京でイタリア語―日本語の通訳の仕事があった。1か月半帝国ホテルで缶詰め状態だった。
丸の内界隈を電飾で飾るその仕事は、イタリア南部の伝統的な職人技が生かされた華やかなものだった。

一日の仕事が終わると、スタッフみんなで夕食となるのだが、その中のひとりこの言葉を発したアレッサンドロ君は20歳代後半の小柄だが心底明るい性格で、どことなく太ったトム・クルーズのように彫りの深い顔立ちをしている。
彼は夕食前の集合時間に必ずこういって、母親に電話をする。
彼女もいるのだが、真っ先にマンマなのだそうである。

イタリアの片田舎で下宿していたお宅の息子さんに、チェロ奏者のルーカというのがいた。
気難しがり屋だが、大のお母さん好きで、人前でも「マンマキスしていい」とお伺いを立てるのである。
とうに二十歳を過ぎてもこの状態は抜けないらしい。

そういえば、映画「グラン・ブルー」の中で、ジョン・レノが演じるイタリア人も母親が絶対的な存在として描かれていた。

イタリアでは、このようなお母さん一遍どうのことを、「マンミズモ」という。つまり、マザコンのことだ。

誰かが、男はみんなマザコンだ、といっていたが、そういうふしが男性にはあるものだ。
でも女性にもマザコンというのがあると思う。ママがいないと何もできない女性もいるのではないだろうか?

そういうことからいえば、母親と子供の間の関係は、父親よりも深いものがあるかもしれない。
子供を産む、という父親にはできないことを経験していて、しかし父親もその母親を知っているように、深いものが母親にはある。

母を失って初めて、男も女もそこへ帰ってゆくものかもしれない。

そういえば、アニメには度々、母を訪ねる少年や蜂の話がありますね。
老若男女、何だかほろりときてしまいます。
みんなわかっているんですね・・・・マンマのことが・・・・・。

女神というものは、結局、母への崇拝なのでしょう・・・・・マリア様も含めて・・・・・。

「この世に生まれたからには、あなたには母がいたということなのです」
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「毒蛇は急がない」

Bayartai!

野人

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by yajingayuku | 2014-11-05 20:44 | 木陰のランプ