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イタリア紀行(53)

10年ぶりの再会である。浪人生の頃からの付き合いのあるY君がイタリアにやってきた。仕事のついでということもあるが、同じ大学学部の同期生でもあり、あれから10年が経っていた。ローマでオペラ鑑賞して、その日はホテルで遅くまで飲んで眠った。次の日、ペルージアに連れて行く。先ずは、予約しておいたホテルでチェックインを済ませて、私の部屋に連れて行った。食材等は買い込んでいたので、夕食は久々にトンカツ定食にした。「イタリアに来て、トンカツを食うとは思わなかった」と一言。骨付きの豚肉は大そう美味しかったらしく、貪っていた。ワカメの味噌汁とサラダを付けて日本風にした。オペラ鑑賞の記事を書くのにデスクとコンピューターを提供する。夜遅くまで仕事が続いた。

翌朝、彼を迎えに行き、駅までバスに乗り、電車でともにフィレンツェを目指す。到着するなり、ウフィッツィ美術館に連れて行く。一通り、見て、コンサート前にホテルにチェックインして、夕食をとる。お洒落な内装のレストランに入り、私はフィレンツェ風ビーフステーキを注文した。相方が何を注文したか憶えていないが、「そっちの方がいいなぁ~」と恨めしそうに飯を食っていた。今回の目玉は、ペーター・シュライアー指揮・歌による、バッハの「ヨハネの受難曲」である。演奏が始まると同時にそれは現れた。鳥肌である。ゾクゾクと全身に電気が走り、肌が立つ。ペーター・シュライアーが歌いはじめると、さらに勢いを増した。これは凄い演奏だった。彼が訴えかけるような激しい歌いっぷりは、恐らくもう聴けないだろう。演奏会が終わると、まだ全身に余韻が残る。外に出て、アルノ川沿いの道を歩き始めると、涙がこぼれた。1年前に若くして逝去したK君の顔が瞼に浮かんだ。「まだ泣けるだけいいぞ・・・」2人とも暫く黙ったままホテルまで歩いて行く。途中、どう見ても風景が京都の鴨川辺りに似ていたので、二人とも笑い転げた。

翌日、フィレンツェ空港まで見送りに行く。次の訪問先は、スイスである。その後、取材で、あの音楽家、アシュケナージに会いに行くことになっていた。久々の再会は、かの地イタリアでなされた。素晴らしい思い出をともなって・・・。ありがとう・・・。

野人
by yajingayuku | 2009-10-01 20:28 |