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イタリア紀行(36)

ポンペイ訪問最後の二日間は、隊員の人たちとフィレンツェ周辺を旅することになった。フィレンツェから西進して、ピストイアで電車を降りる。駅前でバスを待っていると、タクシーの運ちゃんが、今日はストだよと教えてくれる。仕方ないので彼のタクシーを含め2台に分乗し、ピストイアを南下する。

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着いたのは、ヴィンチ村。あのレオナルド・ダ・ヴィンチのふるさとである。昼過ぎに遅い昼食をバールでとり、レオナルドの博物館に入る。彼が発明した様々なものの中で、展示されていた自転車の模型には驚嘆した。今の自転車とほぼ同じつくりをしている。チェーンやタイヤは勿論ないが、ハンドルやサドルなんかは同じで、全体の形もほとんど現代の自転車そのままである。今の自転車がレオナルドの真似をして作られているのだろうか?

博物館を出て、チェントロをうろうろしていると、おじさんがレオナルドの生家に行ったかいと話しかけてくる。車でないと行けないらしいが、何を思い立ったか、一同徒歩で行くことに決めた。うねる道をどれほどまで歩いただろうか、陽が山の稜線に沈んでゆく。地図によればオリーヴ畑を抜けると近道のようなので、畑の獣道を歩いて行く。暫くすると、明かりが見え、人家らしきものが目に入ってくる。平屋の、小さな一間ほどしかない家がレオナルドの家だった。兎に角何もない、自然以外は・・・。これだけ質朴とした暮らしをしていたとは思わなかった。レオナルド少年はまさに野生児だったのであろう。あの水流のデッサンを見れば、彼がどれだけ強く自然界と心を通わせていたかが分かる。暗闇の寂しい獣道を戻る。幸運にも月が照っているので帰り道がよく見え、村の中心までは何とかたどり着くことが出来た。

夕食は、ホテルのレストランで済ますことにした。メニューを見ると、「カジキの燻製」という前菜を見つけた。これはもしかしていいかも・・・とみんなにすすめる。給仕にこれをいくつか注文していると、先生が、レモンのスパゲッティーを注文した。一同も先生に習いこれを注文する。この二つの料理だけが強烈な印象となって残っている。燻製を味わう。絶妙な肉の歯ごたえと燻製の香り、そしてうま味が染み出す肉はまさに絶品。生涯忘れられない最高の味である。未だにこの料理が食べたくて、日本のレストランにないかチェックすることがよくある。この料理は山間の村だからこそ燻製なのかもしれない。パスタは薄い黄色の麺に、これまた黄色のクリームソースが絡まっている。パスタの生地にもソースにもレモンが使われているのが分かる。塩味が丁度よく、ソースがホウレン草とよくあい、パスタと味わえば爽やかなレモンの香りと味が口の中に広がる。酸味は嫌みがなくさほど強くない。最高の晩餐であった。

N先生と部屋で歓談し、買っておいたウィスキーをあおる。くたびれたので、シャワーも浴びずにベッドに潜り込んだ。いやぁ~こんなに満ち足りた一日は久しぶりだなぁ~・・・。運に恵まれている・・・。灯りを消すのを忘れて深い眠りに落ちた。

野人
by yajingayuku | 2009-09-04 01:40 |