2015年 09月 06日
「はっ?」
あれは、幼稚園に上がる前のことだったろうか、朝起きて、洗面所に立ち髭をそる父の背中を見る。
剃り終わって、こちらを向くと、あごの辺りが切り傷になっていて血が出ている。
父は、躊躇することなく、タバコを1本取り出す。
すると、これを解体し始める。器用にタバコの葉を一つまみ指でつまみ、鏡を見ながら、あごの傷に貼り付ける。
「えっ?」
吸わないいんだ、と首をかしげる。
後年、私がタバコを吸い始めたころ、同じことをしてみたことがある。
これが、傷口に強烈な痛みを伴うものであった。止血するが、我々の時代にはティッシュペーパーがあり、こんな痛い思いをせずに済むのである。
でも何故?
父は海軍出身で、戦後は貧乏だった。友人、先輩から教わったのか、安価で手っ取り早い、止血にはタバコがいいと思ったようだ。
タバコは便利だ、とよく父は言っていたが、このことだったのかもしれない。
これが私のタバコとの第一種接近遭遇だった・・・。
Bayartai!
野人
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by yajingayuku
| 2015-09-06 20:16
| 木陰のランプ