カテゴリ:エトルスキ夜話( 3 )

エトルスキ顔

イタリア人に言わせると、エトルスキ顔というのがあるらしい。
フィレンツェのバールやローマのプールをうろうろしていると、時々見かけるらしい。
ローマの高級ホテルにあるプールのドリンク売りの兄ちゃんの顔が、エトルスキ顔だ、とロマーナの友人が言う。
私にはピンとこない。
よくよくエトルスキの壁画を見てみると、眼が大きく、鼻筋が通っているのが特徴のようである。
イタリアに行かれたら、探してみてください、エトルスキ顔・・・。

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by yajingayuku | 2009-02-25 16:43 | エトルスキ夜話

考古学的遺物の形態論、エトルスキの心性、エトルスキの支配的意識、政治史などなど、どれをとってもその出発点は、人間に対する意識が強く働いているものだ。分析が容易な手法も、エトルスキとは何か、ギリシア、ギリシア人とは何か、ローマ、ローマ人とは何か、という大きな問題に対して簡単に結論を下すことが出来ない。しかし、こうした大きな総合的な問題提起を忘れてただ問題を分析するだけでは建設的な研究に結びつかない。大きな問題に帰結せよ、と声を荒げて言う必要はない。そうした問題へ循環させる志向性を研究者の魂として忘れないことだ。

古代のことを扱う研究が、現代とかけ離れた問題である、と考定するには早急すぎる。何故なら、研究と言う行為を行っているのは、正しく現代にいる私、我々なのであるから。そう、どの時代、研究対象でも、現代と深く結びついて思考され、意識されているのである。何も教訓めいたことを引き出すためにあるのではない、歴史は現代を写す鏡でもある。

私が、拝聴したイタリアの大学の講義では、厳しく歴史学の中にある、非歴史的な心理学的分析を戒めていた。単に、歴史の心理的側面に対する分析が、歴史の文脈からかけ離れたものになるのだけは回避しなくてはならない、という内容だった。この態度は、しかし、古代人のメンタリティー、イデオロギーの分析が無に等しい、という態度ではない。むしろ現代的な研究にとっては必要不可欠なものであることを認めているのである。

エトルスキ研究における人間的な要素、心、意識、信仰、遺物遺跡、感情、日常、思考など。これら諸々の事柄がいかに歴史的に推移し、変質し、あるいは固有のものであるか、このことがエトルスキ研究の端緒についた当時の私の意識から離れない課題である。また、何故自分がこういう物事に関心があるのかも脳裏のうちに点滅している課題である。

研究とは、循環に等しい。一つの帰結に立ったとき、その帰結に満足がゆかなければ、その帰結を捨て去ってもいいのである。物事は循環している。初めと終わりは必ずしも同じものではない。エトルスキ研究というごく限られた研究はこうした循環でできている。それこそ「試行錯誤」なのである。


野人
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by yajingayuku | 2009-01-14 12:47 | エトルスキ夜話

エトルスキのブロンズ



古代ローマが誕生する前にイタリアで大勢力をもっていた民族、エトルスキ、イタリアを旅行されたことのある方なら一度は耳にしたことがあるだろう。従来から、エトルスキは、ギリシア文明とローマ文明を橋渡しする存在として語られてきた。今回、エトルスキの青銅器製品に光を当ててみよう。

イタリアにおいても他の青銅器時代同様、金属器に青銅を利用していた時代があり、鉄器時代以降も青銅器製品は作られ続けていた。

アレッツォの駅前に置かれている(オリジナルはフィレンツェの考古学博物館に所蔵されている)、キメラ像は夥しい数の青銅器製品の中でも白眉であろう。古代世界において、エトルスキの独創的な青銅器製品といえば、青銅鏡である。円形の鏡に手で握る把手が付いており、裏面には刻銘や図像が刻まれている。その他にも、幾体もの人物像は有名である。ヴォルテッラの細長い人物像、「オンブラ・デッラ・セーラ」、トラジメノの「アウレ・メテリ像」、神官の人物像などなど、夥しい。

時に、こうした青銅器製品は文字を刻む対象となる。ピアチェンツァの青銅の肝臓模型には神々の名が刻まれているし、コルトーナの青銅板にはエトルスキの名が刻まれている。これらはエトルスキ研究において第一級の史料となっている。

また、生活用品やその埋葬品にも多く使用されていた。副葬品の中には、「お玉」やシャンデリアから「垢すりベラ」に至るまで青銅器製品が再生産されている。

青銅器製品は、時代とともに、緑青をふき色が変わるが、もともとの色は、含有する金属の成分によって変わってくる。言い伝えでは、これ以上に存在したであろう青銅器は、キリスト教時代のイタリアにおいて、「鐘」などの青銅器製品に再利用されたそうである。

多くの製品がエトルスキの遺跡から出土し、時代も様々なことから、エトルスキがこの金属に魅せられていたのは確かである。イタリアへ行かれることがあるなら、こうした製品に注目していただきたい。


野人
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by yajingayuku | 2008-10-05 14:20 | エトルスキ夜話