「貼る」

「貼る」

「はっ?」

あれは、幼稚園に上がる前のことだったろうか、朝起きて、洗面所に立ち髭をそる父の背中を見る。

剃り終わって、こちらを向くと、あごの辺りが切り傷になっていて血が出ている。

父は、躊躇することなく、タバコを1本取り出す。

すると、これを解体し始める。器用にタバコの葉を一つまみ指でつまみ、鏡を見ながら、あごの傷に貼り付ける。

「えっ?」

吸わないいんだ、と首をかしげる。

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後年、私がタバコを吸い始めたころ、同じことをしてみたことがある。

これが、傷口に強烈な痛みを伴うものであった。止血するが、我々の時代にはティッシュペーパーがあり、こんな痛い思いをせずに済むのである。

でも何故?

父は海軍出身で、戦後は貧乏だった。友人、先輩から教わったのか、安価で手っ取り早い、止血にはタバコがいいと思ったようだ。

タバコは便利だ、とよく父は言っていたが、このことだったのかもしれない。

これが私のタバコとの第一種接近遭遇だった・・・。


Bayartai!

野人
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by yajingayuku | 2015-09-06 20:16 | 木陰のランプ