体は語る

「いい耳しとるな」

3歳ぐらいのことだろうか。夕方になると、父がお世話になっていた、京都の地元の旦那衆が我が家にやってきた。
一しきり、世間話をして、笑顔が絶えないのだが、その終わりごろに、決まってその一人のスキンヘッドのオヤジさんの頭を、ペンペンと叩いたものだ。そして、母と父からこっぴどく叱られるというのが夏の夕方の恒例行事だった。

そのオヤジさんから、私の顔を見つけるといつもこういって私の耳を触ってくるのである。
後々、中学校の友人から、耳たぶが下がっているから、その耳は散財する相だと教えられた。

この中学生時代の友人とは、クラスも同じで、剣道部に所属していた。
我々の時代で、何とか廃部だった剣道部を再興して同志を集めた。
半年たつと、女子部員3人が入部するまでになった。

この女子からは、その頃はやっていた「交換日記」というものを誘われて、しばらくやることになった。
日記の中に、私の指が白魚のように長くて綺麗だという記述があった。
白魚のような、という言葉で自分のことを褒めてくれる。
こんなことは生まれて初めてのことだった。しかも同世代の後輩の女子からである。
嬉しくないはずがない。

それ以来、時々、夜のとばりが降りて、ランプの光で自分の指を眺めることがある。
ナルシズムというよりは、不思議な気がするのである。
自分にはその良さが少しわからない。
男としては、もっとガッシリした、毛も生えていてゴツゴツしたのがいいのではないかと個人的に思うのである。

「背が高くていいわね」

こういう言葉をよく耳にする。
でも、心中では、余りいい思いをした思い出が見当たらないな、とつぶやく。
頭をしょっちゅうぶつけるし、若い時は、サイズの合う気に入った服や靴がなかった。

「えくぼのできる男の子って、エッチなのよ」

と小学生の時、クラスメイトから言われたことがある。
私には、右頬に大きなえくぼが浮かぶ。
昔から、どうも気に入らないものだったが、この言葉は当たっていると思うのである。
にゃり、とするとこのえくぼが目立つからである。
ということはしょっちゅうえくぼが浮かぶ私は根っからのスケベなのであろう。

イタリアで、夕景の遺跡の中で、一人ほくそえんでえくぼをつくる。
これは、古代に淫していることの証なのかもしれない。
私の夕焼けとえくぼ・・・・・・。
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「毒蛇は急がない」

Bayartai!

野人
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by yajingayuku | 2014-11-21 23:24 | 木陰のランプ