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湯気の彼方に

大根、卵、がんも、厚揚げ、こんにゃく、蛸、牛筋、コロ、はんぺん・・・・・・・。
鍋が恋しくなりつつあります。
湯気の向こうにおでんの具材が・・・・・。

「やっぱり、ちくわぶよね~」

「なにぬかすか、あんなもん食えたもんやない」

こんなやり取りを、おでんを囲んで関西人と東京人がするのは珍しくない。
私もその一人だが、ちくわぶはダメである。
それに関西人には、鯨のコロがないといけないのである。

鍋といえば、高校生の時の修学旅行は東北で、夕食のキリタンポ鍋が忘れ難い思い出となっている。

東北だと、冬の時期に山形の米沢に行った教習免許合宿を思い出す。湯の町米沢は聞きしに勝る豪雪地であった。朝食を食べ終わり教習所に行く間の時間に、宿のおかみさんが雪下ろしを手伝ってほしいというので、毎日、屋根に上り雪下ろしをした。吹雪く中、車を転がして、宿に戻り、湯気で前方が見えないほどになった風呂に入る醍醐味は、日本人に生まれたことへの感謝へと変わる。
米沢の銘酒といえば「東光」である。
こいつを、湯船の端に置き、徳利からお猪口にひと肌の「東光」を注ぎ、チビリチビリとやるとこたえられない。

夜の雪の止んだ時間に、夜泣き蕎麦屋が来る。白い息を吐きながら小走りに、湯気の立つ屋台のトラックに駆け寄ってゆく。

「おっちゃん、熱いのたのむわ」

5人の大学生は寡黙にして熱心に、スープまで飲み干す。

イタリア半島は、地形を見ても火山性の台地やクレータの残存が多く見られる。
ナポリ湾一帯もそんな太古の火山活動の痕跡が残る場所である。
プッツオーリ。
ナポリから、ヴェスーヴィオ周回鉄道に乗り、海に面した港町で降りる。駅を下ると、小さな港があり、海面近くまで古代ギリシアの時代の神殿などの遺跡が聳え立っている。
ここから、内陸の大きな道路を進んでゆくと、住宅街の近くに出る。矢印の通り住宅街の路地を抜けると、そこは別世界である。小高い山に囲まれた、住宅街のど真ん中に、温泉地の、あの見慣れた日本のような、地獄谷が出現するのである。硫黄の臭いが漂い、湯溜りはブツブツ鳴り、小さな間欠泉で湯柱が立ち、入り口には抜け目なくお土産物屋がある。何と、ゆで卵まで・・・・・・。

こんな光景を見てしまったものだから、シャワーだけの日頃の暮らしに飽いて、湯船が恋しくなってしまった。
仕方なく、バスタブに少量の湯を入れて、日本から持ってきた入浴剤を入れて、バスタイムとなった。

好き嫌いにかかわらず、我々はお風呂というものが必要のようです。
シャワーだけでは何とも・・・・・・・。でも今この下田でも、あの頃のように、シャワー生活です。
そうだ、昭和湯へ行こう!!!!!!!!!!
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「毒蛇は急がない」

Bayartai!

野人

by yajingayuku | 2014-09-20 20:02 | 木陰のランプ