机と椅子

この3日間、下田の夜、「キャンドル・カフェ」という催しがある。透明の筒状の容器に蝋燭を灯し、弥治川一帯の暗闇が妖しく照らし出される。
そんな粋なことが行われてる町の中で、私は背中の汗を扇風機で乾かしつつ、この文章を書いている。
粋な催しに合わせたわけではないが、昼に机と椅子を買った。
横幅のある合板の台湾製の頑丈な机と、ただ同然の黒革張り調のオフィス椅子。
机と椅子は何度も買ってきたが、いつも子供のときの嘔吐に似た感覚が襲ってくる。
小学校の卒業式をもう直迎えるというころ、両親の喧嘩は激しくなった。
喧嘩というより、ただただ母が泣き叫ぶ姿が心に残っている。
原因は父の浮気である。
母はサントリーのだるまをストレートで飲んでいた。酔いつぶれていた。
私には何も出来なかった。
そんな私が、夜、父の机に小刀で傷を付け、椅子の背をそれで引き裂いた。椅子の背の傷からは無残にも内臓のようにクッションが剥き出しになっていた。
母は、「あほ」というだけだった。それ以上は責めなかった。
私はこの時自分の影を見てしまった。悲しかった。影は付きまとった。
机と椅子とサントリーのだるま。私のひとつの内面のしこりであり、暗い思い出である。
今夜は、一杯やりたいな・・・。
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「毒蛇は急がない」

Bayartai!

野人
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by yajingayuku | 2014-08-02 20:23 | 木陰のランプ