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イタリア紀行(57)

ホテルを出て、駅方面に北上した。今回のチヴィタヴェッキア訪問の目的は、「チヴィタヴェッキアのマドンニーナ」を訪れることにあった。これは、近年起こった、教皇庁お墨付きの奇跡のことである。小さな教会で、小さなマリア像が血の涙を流した、というのである。これは見ておかないと旅程に組み込んだ。

広い通りを歩いていると、日本人らしい人物の銅像が建っているのに気づいた。よく見ると、プレートには「支倉常長」と記されている。そうか、ここがスペインからイタリアに入った入り口だったのか・・・。はるばる日本からこんな所まで、時空を超えて出会えるとは・・・。彼の旅は7年間を費やしたそうだが、今から考えると途方に暮れる時間の長さだ。日本聖殉教者教会、支倉常長、どうやらこの町は日本と深い縁で結ばれているようだ。
ローマで描かれた「支倉常長」の肖像画。
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奇跡の像のある教会を求めて歩いていると、一組のイタリア人カップルが声をかけてきた。事情を話すと、車で見に行こうと誘ってくれた。彼らは、来週に結婚するというオアツイカップルで、とても親切だった。ほんの海に近い浜辺の道路を車で走っていると、小魚が子供の背丈以上高さに山鳴りに積み上げられているのが見えた。もったいないというと、イタリア人は小魚は余り好きじゃないんだと答えてくれた。細い林の中の道路に入ると、黒山の人だかりである。今日が土曜日ということもあって、教会に集まっているのだという。幾つものテントが張られ、マリア像やイコンなどが売られており、別のテントでは、教会内部のマリア像を映し出したモニターが置かれていたりした。どうやら、教会に入ることは出来ないらしい。教会の横には、一見するとビニールハウスのような建物が建っている。カップルの話によると、これは温泉施設だという。そうか、思い返すと、「ルルドの泉」も保養施設をそなえていたな~と感慨深かった。奇跡は癒しと結びついている。仕方なく、小さなマリア像をお婆ちゃんの土産に購入してその場を去った。
血を流す「マドンニーナ(マリア小像)」。
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今から、ボーイスカウトのイベントがあるから行かないかと誘われる。ついてゆくと、大きなテントで食事の準備が進んでいる。ボーイスカウトの少年少女が小物を買ってくれというので、仕方なく買ってあげた。今回のイベントは、イタリアに来ているアルゼンチンのコミュニティーが一枚かんでいるものだという。道理で、早くも男女のカップルがタンゴを踊っていると思った、定番なのだろう。何故かその場に場違いな存在の私を踊りに誘ってくれるものがあった。やれやれ、踊りは苦手なのに・・・。とびっきり美味しい牛肉のアルゼンチン風豆スープを食べた。仔牛が丸焼きにされ、その肉を貪るように食べた。これは絶品。野趣溢れた濃厚な肉の味である。満足した。

駅まで車で送ってくれ、彼らと別れた。丁度電車が着たので飛び乗った。ローマに戻るのが惜しく思えた。もう少しのんびりしたかった。しかし旅はまた再開されるだろう・・・何かを求めて・・・。

野人
by yajingayuku | 2009-10-22 11:59 |