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イタリア紀行(26)

フィレンツェから北の峡谷を列車が走る。着いたのはボローニャ。平野にあるこの町は山間の町から来たものにとっては新鮮な何処か懐かしい印象を与えた。ボローニャは、エトルスキの古層が眠る町であり、北のエトルスキ研究の中心地でもある。駅前のハンバーガー屋で食事を済ませ、ドゥオーモ目指して歩く。
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ピサの斜塔は余りにも有名だが、このボローニャのにも斜塔がある。あたかももとから斜塔になるように設計されているような錯覚を受けるが、早い話が設計上のミスか地盤の問題なのである。

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ドゥオーモにお参りして、アーケードの通りの中にそれはあった。ボローニャ市立考古学博物館。一見博物館には見えない入り口を入ると、前庭に遺物がお洒落にレイアウトされている。前にも記したが、ボローニャは、トリノ、フィレンツェに並ぶ世界的に有名なエジプトコレクションが所蔵されているところである。その展示室には、石像、棺、ミイラ、カノープス、レリーフ、その他諸々の遺物が揃っている。ボローニャ出土の遺物は、先史時代から古代ローマ時代にまでに至る。これを見ると、ボローニャの古層からは絶えずいつの時代にも歴史的な痕跡があることが分かる。

石器時代の遺物、金属器時代の遺物を見て、いよいよエトルスキの遺物と出会う。展示室には、エトルスキ前史からローマ時代初期にかけての一連の遺物群が見事に展示されている。人骨が収められている棺や重要な魔人が彫刻されている境界碑などどれも一級品である。中でも、壁面に描かれたハーデス(エトルスキ語では「アイタ」)の饗宴の模写はとても美しい。係りの人に写真を撮りたいことを伝えると別室に通された。館長が出てきて、申請書を書かされる。「エトルスキの来世観に関する研究のために」と記す。彼女は笑顔でこれを受け取った。これで写真をテーマに沿って自由に撮れる。撮影を終えて、歓談していると、本棚にヴォルテッラの研究書が目に入った。納骨容器の集成である。これをコピーさせてくれないかとお願いすると快諾してくれた。この集成を手に教えられた大学近くのコピー屋で大量のコピーをする。集成を博物館に手渡し、お礼を述べ立ち去る。

踵を返して再び駅の方向に向かう。アーケイドの通りから一歩は入って路地に今日の宿を求めた。一軒だけ空室があるのでそこに決め、シャワーが正常なのを確認して部屋を出る。路地を散策していると一軒の楽譜屋が目に留まった。店主が歓迎してくれて、欲しかったバッハの「無伴奏チェロ組曲」の楽譜を購入した。店を出て、今度は食事の場所を探した。入り口からそれと分かる中華料理屋に入った。また店主が笑顔で出迎えてくれ、4人掛けのテーブルに着いた。とりもなおさず、チャーハンと春巻き、何か肉料理、それに紹興酒の小瓶を注文した。ペルージアから来たことを彼に告げると、よく来たと言ってザーサイのおまけを出してくれた。ここの料理は久々のヒットであった。塩加減が丁度いい。気をよくして店を出て部屋に戻る。シャワーを浴びてベッドの中に潜り込んだ。明日はいよいよ、マルツァボットか・・・。

野人
by yajingayuku | 2009-08-24 05:03 |